[39] 東海道五十三驛 名画之書分
原 惺々(河鍋)暁斉画、 沼津 三代歌川豊国画
元治元年 大田屋多吉版 竪大判錦絵(二図入り)
これは一枚の竪形大判錦絵の中に、二駅二図を暁斉と豊国が画き分けているめずらしいシリーズである。
原の図は暁斉が担当し、吹き流しをなびかせ浮島原を行く大名行列、左前面には二羽の番(つがい)の鶴を大きく描いて、画面をより効果的にしている。
豊国描く沼津の図は、十八番(おはこ)の「伊賀越道中双六沼津之段」の主人公、百姓平作と呉服屋重兵衛の親子を演ずる歌舞伎役者(平作-坂東亀蔵、重兵衛−坂東彦三郎) の舞台姿を描いている。
河鍋暁斉は狩野洞白、歌川国芳門で、周麿(ちかまろ)、狂斉、惺々暁斉等と号し、北斉風の浮世絵を得意とし、又漢画、狂画等にも腕を振った。彼は明治の北斉とも言われ、近年国内で評価、人気が高い幕末・明治初期の代表的浮世絵師である。
彼は明治初め一時期、沼津に滞在し、沼津の婦人との間に子供(宇田雨柳)も出き、数々の作品を残す沼津に関係深い、画人、浮世絵師である。